双極性感情障害と私の回復ノート

あたらしい朝に向かって、一歩ずつ進む坂道のように。

回復とは“波の上手な乗り方”

こんにちは、「さかみちライフ」です。
頭の中の“ぐるぐる”を整理するために、このブログで日々のことを書いています。
双極性感情障害の当事者として、就労B型に通いながら、社会復帰を目指す日々を送っています。

双極性障害の「回復」とは何か。
病気のことを学ぶほど、この言葉は人によって意味が違うと感じるようになりました。
多くの人がイメージする“回復”は、症状がなくなること、波が消えること、もう二度と落ち込まなくなること。
だけど、当事者として生きる私は、ある時ふと気づきました。
“波がなくなる”ことこそが回復なのではなく、
“波の上手な乗り方を覚えていくこと”こそが回復なのだと。

双極性障害の波は、まるで海の満ち引きのように訪れます。
静かな日もあれば、荒れる日もあり、予想外のタイミングで高波がくることもある。
それでも海そのものが悪いわけではないように、私たちの心も“波があること”が本来の姿なのかもしれません。

回復を目指していた頃、私はずっと「波をなくすこと」に執着していました。
落ち込んでも「早く戻らなきゃ」と焦り、調子が良ければ良いほど「また落ちるかもしれない」と怯える。
波そのものを敵にしていた時期です。
けれどその戦い方は、どれだけ頑張っても体力だけが減っていき、心が苦しくなるばかりでした。

そんな私が「波に乗る」という考え方に出会ったのは、主治医との会話でした。
「波は悪ではありませんよ」と言われた時、正直ピンときませんでした。
波のせいで仕事を失い、人間関係に傷がつき、自分を責め続けてきたのに。
どうして“悪ではない”と言えるのか。

でも、その後の言葉が心に残りました。
「波があるなら、波に合わせて生活を組み立てればいいんです」
「自分が落ちやすい時期、上がりやすいタイミング、疲れやすい条件。それを知れば、波に飲まれないで済むようになります」
この言葉が、私の中の“回復”の意味を少しずつ塗り替えていきました。

実際、波を完全になくすことはできません。
薬を飲んでも、通院を続けても、生活を整えても、それでも波は訪れます。
でも、波が来ても「どうしよう」と怯えるだけではなく、
「今はこういう時期だな」「ゆっくり過ごそう」「少し下がってきたな」と冷静に受け止められる瞬間が増えていく。
この変化が、私にとって明らかな“前進”でした。

波に乗るためには、いくつかコツがあります。
まずは、自分の波を知ること。
これは、前回の記事でも書いた“記録”と深くつながっています。
記録していくと、気分の変化だけでなく、
どんな日が過ごしやすいのか、どんな状況がしんどさを招くのか、
そうした「自分の傾向」が見えてきます。

そしてもう一つは、“全部の波に逆らわない”という姿勢です。
落ち込みの日をゼロにしようとすると、かえって落ち込みの深さは増していきます。
上がり気味の日を完全に抑えようとすると、心が窮屈になります。
「今日は力が出ない。だから今日はこれくらいでいい」
「今日は気分が軽い。少し散歩してもいいかもしれない」
こうした柔らかな調整ができるようになると、波との距離が変わっていきます。

就労Bに通い始めてから、その変化は特に実感します。
体調によって作業の負担を調整できること、職員にすぐ相談できること、休憩を挟める環境があること。
こうした支援の存在が、波に乗るための“足場”になっています。

以前の私は、波が来るたびに人生が壊れるのではないかと怯えていました。
でも今は、波が来ても壊れません。
ふらつくことはあっても、沈むだけではなく、また浮かび上がってこれる。
その繰り返しが「生きていること」だと、ようやく思えるようになりました。

回復とは、元の自分に戻ることではなく、
“波とともに生きられる自分になること”。
そう考えると、完璧な日が続かなくても、焦らなくてよくなります。
落ち込む日も、調子の良い日も、どちらも自分の一部。
波に逆らわず、波を観察し、波を扱えるようになっていくこと。
その積み重ねが回復なのだと思います。

今日もまた、ゆるやかな波の上を歩いています。
時々揺れながら、でも確かに前に進んでいます。
その歩みが続く限り、私は回復の途中にいるのだと思います。