双極性感情障害と私の回復ノート

あたらしい朝に向かって、一歩ずつ進む坂道のように。

安定と不安定のあいだで――波を記録するということ

こんにちは、「さかみちライフ」です。
頭の中の“ぐるぐる”を整理するために、このブログで日々のことを書いています。
双極性感情障害の当事者として、就労B型に通いながら、社会復帰を目指す日々を送っています。

双極性障害とともに生きていると、「安定」と「不安定」の境界がとても曖昧に感じられることがあります。
昨日は落ち着いていたのに、今日は心が重くて体が言うことをきかない。
逆に、特別な理由もないのに気分が軽くなり、やけに何でもできそうな感覚が押し寄せてくる日もある。
こうした“波”は、人には見えません。
けれど、それは確かに私の生活の中に存在しています。

病気を理解してもらうことが難しいのは、この“波”が目に見えにくいからだと思います。
外から見れば普通に歩いているようにしか見えないのに、中では嵐のように気分が揺れていることもある。
そのギャップが、時に孤独を生みます。

だから私は、波を記録するようになりました。
きっかけは、担当医に言われた一言です。
「波を見える形にしていくと、自分のことがわかるようになりますよ」
その言葉がずっと頭に残っていました。

最初は簡単なメモから始めました。
気分が落ちている日には「心が重い」、上がり気味の日には「落ち着かない」、普通の日は「安定」。
ほんの一行の記録でも、続けていくうちに思った以上の変化が見えてきます。

しばらくすると、自分の波には一定の“パターン”があることに気づきました。
天気が悪い日は落ち込みやすい。
睡眠が浅い日は焦りが出る。
逆に、通所して人と少し話すと落ち着く。
こうした傾向が、少しずつ見えるようになってきたのです。

波を記録すると、悪い日を“責める対象”ではなく、“理解の対象”に変えられます。
「どうして今日こんなにしんどいの?」
と責めていた自分が、
「昨日あまり眠れなかったからだな」
「この数日ストレスがたまっていたからだ」
と原因を理解し、必要以上に落ち込まずに済むようになります。

就労Bでも、波の記録は役に立っています。
体調を振り返る欄を書くとき、自分のメモがそのまま役に立つ。
職員に伝えるときも「今日は少し波が来ています」と言えるだけで、作業の負担が調整され、無理をしなくて済みます。

波を記録することは、未来の自分の助けにもなります。
例えば、過去の記録を見返すと、「この時期は不安定になりやすい」という傾向が見えてくる。
すると、その期間に合わせて生活のペースを落としたり、予定を詰めないようにするなど、予防ができるようになるのです。

波を記録するときに大切にしているのは、感情を細かく書きすぎないことです。
書きすぎると、それ自体が負担になります。
短い言葉で、今の状態を“置いておく”だけで十分です。
書いた途端、心の中の渦がすこし落ち着くこともあります。

また、記録は「良い日」にも意味があります。
気分が安定している日を見つけられると、自分でも驚くほど安心できます。
不安定な日ばかりに目が行きがちですが、実際には「穏やかに過ごせている日」もちゃんとある。
その事実を確認するだけで、未来に対する恐怖が和らぎます。

波を生きるということは、安定だけを目指すことではありません。
不安定さも含めて、自分のリズムとして受け止めること。
そして、そのリズムを少しでも理解し、少しでも付き合いやすくすること。
そのために、記録という方法はとてもやさしい手段だと思います。

私にとって波を記録することは、逃げ道でも、戦い方でもなく、“寄り添い方”です。
自分がどんな時に沈み、どんな時に上がり、どんな時に安定するのか。
それを知るほど、病気との距離が少しずつ変わっていきます。

波があることは、もう恥ではありません。
波があるからこそ、工夫ができる。
波を知っているからこそ、自分を守れる。
そんなふうに思えるようになってきました。

今日もまた、短くメモを書きました。
「少し落ち気味。でも歩けている」
この一言が、明日の私を支えてくれるかもしれません。